第12話

 これに慣れて戴けたら…より精巧な物に換えますので……」


「……無いよりゃマシか……

 …ん?」


 相変わらず口の悪い悠庵が、目を丸くした。


 さえが、彼の左腕を取り―その肌色と同じ色合の布で作った、小さな腕貫うでぬきを腕に通し―刺青の上に、覆い被せた。


「………」


 一時いっときの沈黙…さえが先に、口を開いた。


「松葉杖、此処に置きますね…?

 ちゃんと歩ける様になられたら…その高さにぴったりの杖も、きちんと御作り致しますから……」


「……成程…道理で、患者が大盛況な訳だ……」

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