第2話

 如何にも兇状持ちと風体ふうていの男達の中でも、一際異様に映る、痩せた男が居た。


 伸びるに任せた、乱れた長髪。


 破れ、裂けた儘の、粗末なひとえの着物。


 見るからに汚れ切った、その男は―裸足の脚を投げ出し…

 屍の様な顔でありながら、その眼だけはギラギラと光らせつつ…

 薄汚い風呂敷包を抱えた儘で、身を震わせていた…

 隻腕の刺青を、隠そうともせずに……。


「とっとと下りろ、脚萎え」


 役人に半ば引っ立てられて、男は舟から下ろされた。

 へたり込んだ儘の彼の足元に、古びた棒切れが投げ出される―

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