第64話

 私は、あなた一人だけの、サポーターよ?


 コントラバス奏者・周 奏逸朗を…

 一生、応援するから」



 曾て…花音は奏逸朗に、そう云った。


 その言葉通り…彼女は、自分を犠牲にして、彼を護ったのである……


 「コントラバス奏者・周 奏逸朗」を……


 憎んでいた筈なのに、愛して仕舞った…この男を。



「花音さん…!」


 奏逸朗は、左手の薬指を見詰める…


 花音の指にはもう、何も嵌められてはいないのに…


 いまだに外せない結婚指輪マリッジリングが、変わらぬ輝きを放っている……

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