第63話

 こんなに愛しい女性ひとを、汚してしまったんだろう……?


 どうして…

 この人は、こんなに―

 あたたかくて…やさしいんだろう…?


 だから、僕は……

 「周 奏逸朗」の人生に…彼女を求めた。


 「償う」だけじゃない……


 君を…愛したい。


 僕を、愛してくれる…君以上に。


 花音と結ばれた日…

 僕は―やっと、少しだけ…自分を許せた。


 「奏逸朗」に、なれた…

 そう…信じた。


 でも…

 それは…僕の、独りがりだった……


 花音は…「家」を、出て行った……。



「忘れないでね…

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