第62話

 ま…奏ちゃんは今日、休んだ方がいいな…?」


「ありがとう…そうするよ…?」


 奏逸朗は、楽団を早退し―新聞社・雑誌社と連絡を取った。


 花音の、捨身の告白故か―何処の担当記者も、低姿勢で、丁寧で誠実な応対をしてくれる…


 それが却って、奏逸朗の心を痛くした……。



 僕は…

 「東 惣一郎」です…


 その、たった一言が…言えなかった……


 償い切れなくても…

 君に償いたい…


 そんな言葉一つを云って…済む筈が無い……


 僕は…花音が、大好きになっていたから……


 どうして…

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