第61話

「いや、今度は…僕のヨメとか、君んの可愛い花音ちゃんとかが、僕等みたいな目に遭わないとも…!(憤)」


 奏逸朗は、碌に言葉も返せぬ儘、コントラバスのケースを支える両の手に、力を込めるばかりである……


「周君…どうした?」


「どうしたも、こうしたも、ないですって…(溜息)


 奏逸朗は、楽団一の愛妻家なんですから…


 矢っぱ、奏ちゃん…疲れてるだろ?

 無理するなよ…」


「うん…ごめん…」


「何で君が謝るんだよ?(汗)


 所詮、こんな気持ちで練習したって…不協和音にしか、ならないしさ?(苦笑)

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