第14話

 嬉し涙を光らせる、奏逸朗…花音は、ポツリと云った。


「『パッヘルベルの、カノン』―

 私と…おんなじ名前よ…?


 『花音』…

 『鳴滝花音』……」


「あ…!?」


「そして、あなたは…

 『周 奏逸朗』……」


 彼女は、コンサートプログラムを手にしている……


「私の好きなカノンを、あなたが奏でる…奇縁ね…?」



「『ユカリ』じゃなくて…『花音』の……

 詰まらない話…聞いてくれる…?」


「はい……」


 コンサートの後も、奏逸朗と花音の、不思議な関係は続いていた。

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