第3話

「何?花音さん…」


 欧州ヨーロッパでの出張公演は、凡そ一ヶ月―花音は俯いて、口を開いた。


「あのね…私……

 今、とっても…幸せよ…?」


 顔を上げた、花音…涙を浮かべつつも、微笑んでいる……


「…!」


 奏逸朗も又、を潤ませ…ニコッと笑って応えた。


「僕もだよ?


 じゃ…行って来ます!」

「行ってらっしゃい!」


 花音は笑顔で、奏逸朗を見送る……


 理智的で、端正な顔立かおだちの音楽家と、飾り気の無い、可憐な主婦…

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