出逢い―花音(かのん)と奏逸朗(そういちろう)―

第2話

 東都府足並区・綾波に在る、分譲マンション。


 「あまね」の表札が掲げられたへやから、大きな弦楽器のケースとスーツケースを携え、モノトーンのスーツを着た―黒髪をショートカットにした、長身の若い男が、姿を現した。


 楽器ケースの中身は、コントラバス。着ているスーツは、「JBM交響楽団」の団員服。


 彼の名前は、周 奏逸朗・26歳。国際的にも高く評価されている、国内随一の交響楽団の、首席コントラバス奏者である……


「奏逸朗さん…」


 玄関近くから、声…同い年の妻・花音が、ドアの所迄出て来た。

 奏逸朗は、彼女に微笑って見せる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る