第26話

「…えっと…~~~…


 エナイくん?」


「…あ…!?


 いえ…~~……」


 少年は、敢えて訂正しなかった。

 訂正していたとしても―宇多子に取っては、訊かず仕舞いだった彼の名前同様に―どうでも良い情報だったのだ。


「サエナイ」…エナイ、か……

 詰まんない…あ~あ。


 それが、宇多子と―英智の、出逢い……。



「…こないだは、ありがと。


 よかったよ?あんたに会えて」


 先日のコンビニ前で、宇多子は英智を呼び止めた。


「千円返す。エナイくん…」


「!?

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