第25話

 …チョロいね?


 苦笑する宇多子…少年は、思い切った風に応えた。

「…あのっ、僕…そんなにお金、ないんですけど…

 公営バスなら、路線一律料金で、結構乗れるから…」彼は自分の薄財布から、一枚だけ入っていた千円札を取り―

「これで…何とか……帰れませんか…?」軽く畳んで、彼女に差し出した。


「!」


 思わず宇多子は、目を丸くした。


 ホント…純情バカ……。


「どーも」

 若干驚いた物の、ちゃっかり千円札を受け取り―彼女は、彼の名札を見た。


〝江内〟―見知らぬ苗字だ……

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