第24話

 あいつを―汚してやりたい……


「あたし…イラつくのよ。


 ああいう純情バカって」


「ちょっと、ウタ…

 キモ男相手に、マジ…!?」


 吸い掛けの煙草を、靴先で踏み消し―宇多子は、少年の鼻先迄やって来た。

「あんた…金、ない?

 定期、落としてさー?」

「え…?

 何で、僕に?」


「さっきバアさん、助けてたじゃん?

 それに―


 笑顔が…カワイかったしねー?」


 宇多子がそう言い結ぶなり、少年の顔は見る見る紅くなる……


「…そんなコト…初めて、言われた……っ……」

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