第16話 自分に鞭うつ?
思考を止めるのは、呼吸を止めるのと同じように難しい。短く止めるのは簡単で、長く止めるのは難しい。
思考が特定の場所にさしかかると、スイッチが入ったように疲労感に襲われて、思考や感情が停滞することに、ラマは気がついた。それでいて思考は、気がつけばそこへやって来て、地雷の周辺をぐるぐると徘徊している。
日中は成仏できずに徘徊する幽霊のような思考は、深夜に姿を現した。眠れないのは寝ないで聞いて欲しいことがあるからなのだろう。そう考えたラマは、トイレのあとに眠ろうとする努力を諦めた。
「夜明け前が一番、暗い」というが、眠れずに迎える夜明けは、もっと暗い。繰り返される思考のループを野放しにしておくと、時に何かが暗闇で小さな青い灯りを発する。灯りの意味も価値もわからないまま、枕元のメモ帳にそれを書き記す。
それを一週間ほど続けると、脈絡のない想いがメモ帳に並んでいく。それらの総体が一つのメッセージになって、自分にしか理解できない言葉で、語りかけてくるようだ。
ラマはそれに、耳を傾けた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。