第4話 北の魔女3
「ぐっ……」
べちょっとした舌触りに、砂のような食感が新鮮だ。
トップノートは真夏の足の爪の垢のような香り。続いてエグ味を伴う苦味と切り裂くような辛味が鼻腔を通り抜ける。独特の清涼感を伴い、ざらざらした葉が舌を撫でる。
胃から込み上げる、生臭さを伴う酸がいいアクセントとなっていて、誤って大量生産された唾液が液体と混ざり合おうとするも、見事に分離する。口の中は唾液ゾーンと液体ゾーンで二分され、混乱した舌先が行ったり来たりする。
喉奥が驚嘆のあまり収縮し、反射的に目の奥が潤む。
唇に未だ触れている残りの液体からは、なんとか原型を留めている虫の後ろ足が可愛らしく覗いている。
眼球がより情報量を求めるべく、限界値を超えて見開かれる。
本能的に息を止めるが、脈打つ喉奥はそれを許してくれない。
ああ、あんなところに虹色のちょうちょが……。
「どうじゃ? 美味しいじゃろ」
ごぽっ。
鼻先で固い泡が弾け、まぶたに飛び散った瞬間俺の精神も限界を迎えた。
「お"え"……ぐぉ、ぇ、!!」
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