第5話 テコ入れ回
——紹介しよう。ここが我が対魔王軍情報部の部室だ。そこ、散らかってるから気をつけるんだぞ。
(部室のドアが開き、少年が女の子を連れて入ってくる)
「なんや、そのちっさい嬢ちゃんは? 誘拐はアカンで」
問題ない。三十六度も合意の上だ。
「そんな合意することある? 体温かと思ったわ。で、なんなん?」
ふむ。そろそろテコ入れが必要かと思ってな。男2人では華がなかろう。
「メタ的な話すな」
するぞ。地の文が一人称だからな。俺が語らねばなるまいよ。
「ま、まあええわ……。それで誰なん? まさか入部希望やないよな? 初等部の子連れてきたら問題なるで」
失礼な奴め。恐ろしくロリな見た目だが、中等部のレディだ。
「おっとそうなんか……って、お前も失礼やんけ。ごっつ睨んでるで」
俺は憧れの眼差しだと解釈しているが?
「ポジティブすぎて怖い!」
このロリっ子は体験入部を希望している。名を
「いやよくないやろ」
「あの……わたしも喋っていいでしょうか?」
ダメだ。地の文が俺の一人称な以上、お前らが自由に喋ればセリフが混同する。永田はエセ関西弁を話すから判別できなくもないが、紛らわしいことに変わりはない。お前が喋っていいのは永田が退場してからだ。
「ヒェッ。なかなか酷い扱いやな。嬢ちゃん泣きそうになってしもてるやん……」
そそるか?
「なんでやねん。ほんなら俺は出て行った方がええんか?」
当たり前だ。今の会話で察しろ。理解したなら早く動け。でかいだけの
「女の子の前で無駄にイキるのやめーや。むっちゃカッコ悪いで。童貞丸出しや」
どどど童貞ちゃうわ!
「てか、俺が出て行くのはかまへんけど、お前とこの子2人にしたら、この子が心配やなあ……。嬢ちゃん、下の名前は?」
「桃です。葛木桃」
「可愛らしい名前やん!」
おい永田。勝手にクズとの仲を深めているんじゃない。
「桃ちゃん、もし不安になってもうてたら体験やめてもええんやで。俺が中等部まで送ろか?」
「は、はい……。もう少し、考えてからにします……」
「それがええ。この兄ちゃんやばいとこあるねん。ほないこか」
ま、待て! ナチュラルに手を繋ぐんじゃあない! クズは純朴そうだから俺が都合のいい手駒にしようと思ってたんだぞ! それを永田、貴様……!
「……ほないこか」
「……はい」
あー。
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