第3話 わけあり魔法少女

 あたしルナティック・ラヴィット。14歳。中2。わけあって魔法少女をしてるんだけど……。あ、これみんなには内緒ね。バレたら死ぬって言われてるから。


「いきなり重いわ!」


 てか聞いてよ、オリオンたらひどいの。あ、オリオンっていうのは使い魔のネコなんだけど、どら焼き食べたいどら焼き食べたいってうるさくて……。


「ネコ型ロボットやないかい」


 おまえはドラえもんかって思うよね。


「俺がぼかした意味……」


 もお仕方ないからどら焼き買いに街まで出かけたら、財布を忘れて。おまえは愉快なサザエさんかって思うよね。


「さっきから国民的アニメよう出てくるな。ちゅうか全然魔法少女の要素ないやん」


 まあ待て。せっかちさんは嫌われるぞ? じゃあ続きな。『それから3年後――』


「一気に飛んだな」


 どら焼きを探していたあたしは……。


「まだ探してたんかい」


 お魚を咥えたどら猫に出会ったの。


「サザエさん好きやな」


 そのどら猫が言うには、『お嬢さん、お逃げなさい』


「森のくまさん出てきた!」


 あたしは『うるせえ!』と言ってクマさんの土手っ腹に魔法のステッキをぶち込んでやったわ。


「いや待て待て。突っ込み追いつかんて! いつの間にかクマさんになっとるし、女の子ヤンキーになっとるし、魔法のステッキ(物理)やん! 魔法は? ねえ魔法は?」


 馬鹿かおまえは? 魔法は変身しないと使えんのだぞ。


「馬鹿はおまえやー! くだらん話考えとらんで、魔王軍の対策でも練っとけや」


 魔王軍はしばらく来ないんじゃなかったのか?


「アホみたいな小説考えるよりええやろ」


 ふん、魔王軍については問題なかろう。魔法少女がなんとかしてくれる。


「現実と妄想がごっちゃになっとるやん。アホらし。もう帰るで」


 あー。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る