第2話
今日も今日とて、俺はチキンな相棒の永田と議論を繰り広げている。
「勝手に俺をチキンにすな」
いいか、チキンというのは臆病者のとこでだな、別に本当のチキンという意味では……。
「そんなことは知っとるわ! 馬鹿にしとんのか」
そんなことはない。少なくともサル以下の知能だと思っている。
「めっちゃ馬鹿にしとるやんけ」
馬鹿にされたくなかったら、赤ちゃん語で話すのをやめることだな。
「一度も使ってへん!」
かかったな。貴様が赤子の頃に使っていたのは何語だ!
「普通に日本語やけど」
…………。
「いや、なんか喋れや」
……赤子の頃から日本語か。だから日本人はイレブンとか言われるんだ!
「お前も日本人やろが」
…………!
「何びっくりした顔してんねん」
お前には黙っていたが、俺は実はウンポコ星の人間なんだポコ。
「そないな語尾で騙されるか!」
疑り深い男だ。そんなことではウンポコ星の女性には好かれんな。
「別にええわ」
どうしたら信じてくれる? 脱げばいいのか?
「何で脱ぐねん」
実は、ウンポコ星の女性の胸には「バカが見る!」と書かれているんだ。
「もうちょっとマシな嘘つけや。そもそもお前は女性やないし、脱いでも無駄やろ」
…………!
「だから何でびっくりした顔してんねん」
そうか、お前は女性の裸が見たいんだな。仕方ない。
お前がそういうのなら仕方ない。
俺はこんなことしたくないが仕方ない。
「何をする気か分からへんが、とりあえずやめとけ」
ふっ、無理するな。お前の心は分かっている。
大丈夫だ、失敗したら全部お前のせいにしておくから。
「全然大丈夫やないやん! 一体何をするつもりなんや!」
……ゴクリ。妹のパンツを入手する……!
「裸と関係ないわ!」
シッ! 声が大きい!
「あ、すまん」
大声を出すのはパンツを手に入れてからにしろ。
「いや、だから止めようや」
何だ、怖気づいたのか?
「そんな挑発されても、普通に犯罪やから」
馬鹿め。刑法では、身内間の窃盗は罪に当たらないんだぞ。
「あかんわこいつ、早く何とかせぇへんと……!」
さて、それじゃ俺とお前の役割だが。
「話を進めんな!」
俺が妹を引き付けておくから、お前がパンツを取って来い。
「完全に単独犯やん!」
安心しろ、戦利品は山分けだ。俺がパンツで、お前が残り香。
「差がありすぎるわ!」
卑しい奴め。そんなにパンツが欲しいのか?
「お前に言われたくないわ」
まぁ、頭に被るくらいの行為なら許可しよう。
「そんなことせんわ! せやけど、これはホンマに通報したほうよさそうやな」
……なーんちゃって。全部冗談だ。本気にするな。
「……(無視して)ちょっと電波が微妙やから、外でかけてくるわ」
いや待て、冗談だと言っている! なんちゃってだぞ、なんちゃって!
お前は冗談とネタの区別もつかないのか?
「冗談とネタはどっちもどっちやろ。ていうか安心せい。通報する言うたんは冗談や」
…………。
「何や、ホンマに通報する思ったんか?」
……思った。
「なに急に可愛くなってんねん。ほんなら俺はもう帰るで。ちゃんと部室の鍵閉めとき」
あー。
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