第21話

「でも、確かに年上合いそう」


「でしょう?!」



恋愛音痴な私を置いて、私のお相手探しを始める二人。止めても無駄そうなので、耳だけ前に向けながら油淋鶏をもぐもぐ食べ進める。



「インターン中の今がチャンスじゃない?うちの男性陣優良物件多いし」


「そうだなぁ、うちの部署でいうと“瀬古さん”とか……」



田中さんがピンッと人差し指を立てて名前を発したタイミング。四人テーブルに黒い影が落ちた。



「んー?俺がどうしたの?」


「……っ?!せ、瀬古さん!」



トレイを持って当たり前のように私の隣の空席を埋めた男性。経営企画課の瀬古さんだ。



「一緒食べていい?もう座っちゃってるけど」


「もちろんです!あ、悪口言ってないですよ?瀬古さん仕事できてカッコいいって褒めてました」


「嘘つき。無理に褒めなくていいですよー」


「本当ですよ!これから本当に言おうとしてたんです!」



必死に弁解する田中さんをアハハと笑って軽くいなす瀬古さんは、確かに綺麗な顔立ちをしているし、物腰柔らかい性格から見ても随分モテそうだ。


インターンが始まって数日経つが、丁寧に仕事を教えてくれるし、「もう慣れた?」「休憩取りながらでいいからね」などと度々声をかけてくれる。



「直江さん、この子たちに虐められてない?」



冗談めかして聞いてくる瀬古さんに「ひどーい」「可愛がってますー」とすかさず飛ぶヤジ。


こんな風に軽口で接することができるところも人気の秘訣なんだろう。

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