第22話
3人のやり取りをくすくす笑いながら「みなさん優しくて助かってます」と伝えると、「そう?それならよかった」と笑って定食に箸をつける瀬古さん。
焼き魚の骨を上手に外し、一口食べてから「で、何の話してたの?」と顔を上げる。
「恋バナです。恋バナ」
「あ、田中さん……っ」
「直江さんには包容力のある年上が合うんじゃないかって」
「加藤さんまで……まだその話続くんですか?」
まさか瀬古さんが来てまで話が続くとは思っておらず、たじたじになっていれば、「あーなるほど。分かるかも」と私の隣で瀬古さんが大きく頷く。
「同世代だと綺麗すぎて近寄り難いだろうしね」
「そうなんですよ!でも、瀬古さん世代から見たら素直で可愛いでしょ?直江さん」
「ん、可愛い」
「……んっ、ゴホッ」
さらりと放たれた言葉に思わず咽せる。
あーあ、大丈夫?と当たり前のように背中を叩いて介抱してくれる彼だが、出来れば今は触れないでほしい。
対響仕様の免疫は長年の努力の成果でかなり強固だが、他の男性に対する免疫はからきしだ。
別に恋愛感情とかそういうのは皆無でも、思わず顔が赤くなってしまう。
「ふ、直江さんクールな見た目で実はピュアなんだ?ますます可愛い」
「……本当勘弁してください、そういうからかわれ方慣れてないんです」
こういう時、髪が長ければ色々と隠せたのに。
せめて真っ赤に染まっているであろう耳だけでも隠したくて、短い髪をぐしゃりと掴んだ。
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