第18話
*
「直江さん、さっきIT管理課の社員と会った?」
「え?はい。お会いしました、廊下で」
今日の昼食時間は、経営企画課の田中さんと加藤さんの女子会にお呼ばれされた。
「やっぱり直江さんだった」と朗らかに笑う田中さんはパステルブルーと白のバイカラーブラウスがよく似合う可愛らしい女性だ。
「経企のカッコいい女の子と喋ったってメッセージ来たからきっと直江さんのことだと思ってたの」
「そうなんですね」
さっきの今でもう情報伝達されるんだ、と苦笑いで応える。
「ごめんね、なんか失礼なこと言ったんでしょ?あの子」と申し訳なさそうに両手を合わせるのは白のブラウスにノーカラージャケットを羽織った加藤さん。ザできる女といった雰囲気の女性だ。
「あはは、男性に間違われたことですかね?珍しいことじゃないので全然大丈夫ですよ。気にしないでくださいって伝えておいてください」
「でも……」
「同じ大学の男がIT管理課でお世話になってるんですけど、その子が「こいつ女ですよ」って空気読まずに訂正するもんだから、気まずい思いさせて逆に申し訳なかったです」
「逆に申し訳ないって……直江さんいい子すぎない?怒っていいのにー」
改めて「ごめんね」と言ってくれる彼女たちを見れば、きっとIT管理課の女性も相当反省されていたのだろう。
全然その必要はないのだけれど、私を気遣ってくれるその気持ちが嬉しいし、みんないい人だなってホッコリする。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます