第15話

「へぇ、二人とも格好いいし、大学の女の子に相当モテるでしょう?」


「え?」


「私もこんな格好いい男の子たちとキャンパスライフ送りたかった〜」



響の隣に立っている活発そうな女性に尋ねられる。それを聞いて、私をじっと見つめていた女性がわずかに気まずそうな顔をした。


きっと、“男”か“女”か判断に迷っていたのだろう。だから、男と断定して質問を投げたことに対して、驚いているのだ。



男に間違われるのも、判別がつかず困らせるのも……悲しいけど慣れっこ。


自らジェンダーレスな服を選んで着ているのだから文句なんて言えるわけもない。


変な空気にしたくなくて、「あはは、真壁くんはモテますけどねー」と無難に返した。性別のことには触れずに。


別に他の部署の社員さんだし、誤解を生んだままでも問題ないと思ったんだ。


相手に説明するかどうかの判断材料は、その後の生活に支障があるか、ないか。女のプライドなんてないし、そこら辺色々諦めてるから別に……——と、思っていたのに。



「こいつ、女ですよ」


「……っ、」



ヒュッと投げられた声が空気を切った。


別に良かったのに。本当に私はどうでも良かったのに……全然どうでも良くなさそうな顔で女性たちを見下ろしている響。



「俺の幼馴染なんです」


「ひ、響……」


「まあ、ボーイッシュだから確かに女子人気高いけど……女です」


「……」

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