02.履くなよスカート

第13話

「真壁くん、お昼食べたぁ?」


「社食案内してあげるよ?」


「それとも外に食べにいく?何食べたい?ご馳走してあげるよ」



たまたま通りかかった廊下にて。響が女子の群れに捕まっている。


もちろん見慣れた光景なのだが、いつもと違う点をあげよと言われれば、いくつか列挙することができる。



ひとつ、ここは大学のキャンパスではないこと。


ふたつ、群れているのはいつもよりやや年齢層が上の大人女性であること。


みっつ、真壁響が嫌悪感を顔に出していないこと。



「ありがとうございます。昼食は……ちょっと約束してて」


「え〜そうなの?残念」


「ね、明日は?」


「あー……」



グイグイ近寄ってくる女性陣を前に笑顔をキープしつつ、困ったように宙を舞った響の瞳。



「……」


「……っ!」



あ、見つかった。


バチリと視線がかち合った瞬間、助かった!とばかりに瞳を輝かせて「涼!」と手を上げた響。


身長が高い分、手を上げれば目立つ。彼の視線を辿るように、周りに群がっていた女性陣の瞳がこちらに集まり、……本当勘弁して欲しい。

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