第12話

「……んだよ、どうせお前には効かないんだろ?」


「そうだけど、響が寝てる間私も動けないじゃん」



平静を取り繕って返せば、首筋にフッと笑い声が触れた。ビクッと揺れた肩は「くすぐったい」と怒った声で誤魔化した。



「本当、なんで涼には効かねぇのかなぁ。全く動じないの逆にムカつく」


「何それ。ムカつくなら離してよ……」


「やだ。俺の抱き枕」


「もぉ〜!暑い!」



もがけども、全く動じない響から穏やかな寝息が聞こえてきたのは数十秒後。こうなると、しばらくは起きてくれない。



「……本当、どこでも寝る癖直した方がいいよ?」



……て、こいつ枕なくても色んな場所で寝てるじゃん。しかも、女豹が集ってきても気づかないほど熟睡。


今更ながらそんなことに気がついて、次からは絶対に枕になってやるものか、と思ったのだけれど。



数日後には“眠り姫”の言いなりで“枕”を全うすることになる。



これも一応、彼の睡眠を守る“ナイト”の仕事?




01.君だけのナイト

—end—

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