第7話

響は一言で言えば【フェロモン体質】だ。



恵まれた容姿もさることながら、説明し難い妖艶なオーラを放つ彼は、すれ違う老若男女をことごとく虜にしてきた。


冗談なしに彼の顔を見て鼻血を出す人もいたし、ストーカー化した人物を数えれば両手の指で収まり切らない。


電車に乗ればほぼ100%の確率で痴漢に遭う。高校の卒業式では床に落ちた抜け毛すらも回収されていた。


そんな数々の逸話を持つ響は立派な人嫌いに成長し、長年連れ添っているせいか彼のフェロモンが効かない私は彼の世話に追われている。


人嫌いのくせに寂しがり屋な響の相手をして、彼に集う女豹を追い払う。それが私の役目で、15年続いた私の日常。


誰もが見惚れるフェロモン王子の隣にいる私はさぞ周りから疎まれているのだろう……と思われるかもしれないが、幸か不幸か、そういうわけでもない。


昔から周りより高かった身長は伸び続け、女性の平均身長をゆうに超える、173㎝。


可愛らしい髪型や服装に憧れないわけでもなかったが……まあ、人には向き不向きがあるので万年ショートカットとパンツスタイルがお決まりになっている。


この情報だけで察しがつくとは思うが、私の容姿は女性らしさとは程遠い。


そのため、響と連れ立って歩いていても女性から嫉妬心を向けられることは殆どなく、それどころか【王子同士の禁断の愛♡】などと熱視線を向けられることの方が常なのだ。

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