第13話

「あはは。部長さん、ほんとに完璧ですね。早くお会いしたいです。」




あまり考えずに、ふとそう返せば




「高梨さんなら、お似合いねー。

おばちゃん、美男美女カップル大好きよ。」




興奮ぎみに語り出す。



な、なぜそうなる?!





「いやいや、そんなんじゃないですよ?」



焦って否定すれば、「またまた~」って、

おばちゃん特有の押しの強さ。




「ほんとに高梨さん美人よね。

おばちゃん、一目惚れしちゃった。うちの会社。プレイボーイ多いから気を付けるのよ?」




ぷ、プレイボーイって(笑)



ばれない程度の苦笑いを浮かべる私に一目も触れず、



「入山くんもイケメンよねー?大学でモテたでしょ?彼女いるの?」



いきなり、わりと踏み込んだ質問。

恐るべし、ベテラン人事。



話をふられた入山くんこと、隣のジャニ顔くんは、急に自分に向けられた言葉に驚いたのか、少し目を広げて



「まぁ、どうですかね…?」と程よく核心を避けた。




そうこうするうちに、視界に映り始めた目的のオフィス。





「ほら、あそこのオフィス。

入社試験のトップと2位って誇りを胸に、会社の最先端を行く部署で頑張りなさいね?」



「「はい。」」



「じゃ、オフィス入ればなにすればいいか教えて貰えるから。私は業務に戻ります。」



「「ありがとうございました。」」





去る女性の背中を見送りながら、息をはく。




あー、いよいよ…か。

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