第10話
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『新入社員代表挨拶。』
「はい。」
私が立ち上がると、沢山のフラッシュ音が響いて目が眩みそうになる。
チカチカする瞳を気にする素振りなんか僅かも見せず、平然と歩みを進める。
壇上に上がると、大勢の視線がすべて私に向かっていて、目眩がしそう。
『… 本日は、私たち新入社員のためにこのような立派な入社式を開いていただきましたこと、心より感謝いたします。この度は…』
極めて冷静を装って、ほとんど暗記した代表挨拶を微笑みながらマイクにのせる。
大きな企業なだけに、テレビカメラも入っていて緊張しているのは確か。それでも、なんとか最後まで読み終わり、暖かい拍手を頂いた。
降壇すると、社長と目が合い頭を下げる。
そのまま近づいてきた社長は、私の肩に右手をおき、「期待しているよ。」と声をかけた。
笑顔で爽やかに。
「はい。がんばります。」
返事を返して、社会人の幕が開いた。
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