第6話

「そういうわけで、私は彼氏がいたことはございません。お分かり?」



「はあー、信じがたいけどね。」



私の顔をまじまじ見つめて、そう溢す彼女に首を捻ると渋々といった感じで言葉を返す。




「だって、心愛って性格置いといたら、頭はいいし、顔もいいし。

かなりのハイレベルだから。」



「あれあれ?性格置いちゃうの?」



「当たり前だろ。脳内お花畑じゃん。」



「いいね、脳内お花畑!もらったー」



「ほら、ばか。」





指さして、真顔でけなした彼女は、

…ほんとに親友?




「告白も全部断るから、なにかと思えば…

そんな引きずり女だったとはね?」



「止めてよ、引きずり女って。ナメクジみたい。」



「はい?ナメクジの件わかんない。」



ふって嘲笑ぎみに笑われたけど、あえてのそこは無視。



こほん。とひとつ咳ばらいをしてその場を改めて。




「ですが!私、明日から社会人。」



「はいはい、だから?」



「そろそろ、新しい恋を見つけて。遅咲きの青春ってやつを始めたいと存じますところ…」



「なんか、オヤジみたい。普通に話しな?そろそろ、キャパくるしーでしょ?」



「……」



んもー、あーいえば、こーいうなぁ。




「とにかく、もう先輩のことは忘れて新しい恋を探すっていう、……決意表明?」



「ふーん、いいんじゃん?あんたならすぐ見つかる。」



そう、にっこり笑ってくれた。なんか、肩の荷が下りた気分。

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