第4話

ドアノブに手を添えたまま、呆然とフリーズする私。



しばらくして、

後ろから伸びてきた手がドアを閉めた。



「諦めろって。

あの人たちが、今更やめると思うか?」



呆れたような声に、思わず押し黙る。





「………思わない。…けど!」




顔をあげると、すぐ近くにあった見慣れたきれいな顔。



今日はなぜだか、一層にかっこよく見える。



つい、我を忘れてみつめると、

彼の唇はニヤリ、弧を作った。




「なぁに。みとれてんの~?」



「…っ!み、みとれてない!」




我に返った私は、

キッと疾風を睨みあげる。




「疾風、自分の家に行ってよ!」




すると、疾風はフンッと鼻で笑って、



「お前が俺んちいけば?」



上からバカにしたように言った。




なにその顔…

なんかむかつくなぁ…




「いいよ!

疾風ん家で暮らしてやるっ!」




私は、スリッパを履いて家を飛び出した。

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