第11話
経理課のある5階でエレベーターを降りると、前から歩いてきた女性と目が合った。
「あ!」という声とともに、笑顔でこちらに近づいてきた女性社員の2人組。
「三船くーん!なんでこんなとこいるのぉー?」
「お疲れ様でーす。経理に用事がありまして。」
親しげに話しかけてくれるけど、まずいまずい、誰だっけ?
社内規定ギリギリの髪色のおしゃれパーマを見れば、恐らく内勤の総務課の先輩だとは思う。
「三船くん、先月も営業成績トップだったんでしょー?」
「すっごぉーい!」
詳しいな。こりゃ、営業課に内通者ありだな。
こえー、ハイエナ女子に食われないように気をつけよう。
うちの部署は会社の花形って言われるようなところだし、自分が女性社員からロックオンされていることは自覚してる。
「ありがとうございまーす!
俺、優秀なんですよねー、とか言ってたまたまですよ。」
「あはは、謙遜しなくていいよぉ〜」
親しくない人とも適当に話を合わせて、ヘラヘラ笑っとく営業テクを使いながら、心の中では早く経理課行かせろ、と抗議してる。
経理課はこの廊下を真っ直ぐに行って角を曲がったとこ。
…あ。
行き先に目を向ければ、俺の想い人が汚いものを見るようにこちらを睨んでいた。
…うわ、嫌われてんなぁ…やっぱ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます