第7話
私の学生時代といえば柔道一色だったものの、仲の良い友人も多かったし、それなりに若者文化を体験してきたつもりだ。
…とはいえ、大手だってはしゃぐようなタイプでもなかったため、コスプレ衣装で外に出るような勇気などなく…
「友人の家でハロウィンパーティーとかはしてましたね。みんなお揃いの仮装して」
「…へぇー」
「写真とかいっぱい撮って、楽しかったなぁ」
「何の仮装したんだ?」
「魔女です。その時は今よりもう少し髪長かったので、友達に髪巻いてもらってりして。懐かしいなぁ」
「…へぇ」
「……」
私の思い出話に対して、前を見据えたまま空返事を繰り返す東堂さん。
東堂さんに聞かれたから話したはずなんだけど…なんか、私が勝手に興味のない昔話をベラベラ話してる感じになってない?
ついつい懐かしさに流れるようにしゃべってしまったが、その頃今より髪が長かったとか、友達に巻いてもらった…とか、そういった補足情報は不要だったかもしれない。
その後の僅かな沈黙に耐えられず、慌てて「あ、あの、すみません…どうでもいい話を聞かせてしまいまして…」と声を上げれば、
「ん…?何がだ?」と東堂さんのキョトンとした顔がこちらを向く。
「え、だって…さっきから"へぇー"って、絶対興味なかったですよね?!」
「え?…ああ、いや、違くて。ちょっと考え事を…」
「考え事って、…あ!すみません、もしかして私、考え事の邪魔してました?!」
「いや…そうじゃなくて、だな…」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます