第7話

私の学生時代といえば柔道一色だったものの、仲の良い友人も多かったし、それなりに若者文化を体験してきたつもりだ。



…とはいえ、大手だってはしゃぐようなタイプでもなかったため、コスプレ衣装で外に出るような勇気などなく…



「友人の家でハロウィンパーティーとかはしてましたね。みんなお揃いの仮装して」



「…へぇー」



「写真とかいっぱい撮って、楽しかったなぁ」



「何の仮装したんだ?」



「魔女です。その時は今よりもう少し髪長かったので、友達に髪巻いてもらってりして。懐かしいなぁ」



「…へぇ」



「……」



私の思い出話に対して、前を見据えたまま空返事を繰り返す東堂さん。



東堂さんに聞かれたから話したはずなんだけど…なんか、私が勝手に興味のない昔話をベラベラ話してる感じになってない?



ついつい懐かしさに流れるようにしゃべってしまったが、その頃今より髪が長かったとか、友達に巻いてもらった…とか、そういった補足情報は不要だったかもしれない。



その後の僅かな沈黙に耐えられず、慌てて「あ、あの、すみません…どうでもいい話を聞かせてしまいまして…」と声を上げれば、



「ん…?何がだ?」と東堂さんのキョトンとした顔がこちらを向く。



「え、だって…さっきから"へぇー"って、絶対興味なかったですよね?!」



「え?…ああ、いや、違くて。ちょっと考え事を…」



「考え事って、…あ!すみません、もしかして私、考え事の邪魔してました?!」



「いや…そうじゃなくて、だな…」

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