第6話
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「はぁ、なんとか終わりましたねぇ」
「特に祭りが開かれているわけでもないのに、なぜ意味もなくあんなに人が集まるのか…理解できん」
「そりゃあ、何もなくても若い子たちは友達と集まって騒ぐだけで楽しいんですよ、きっと」
「…そういうものか」
最寄駅の終電が全て発車し、一通りの警備業務が終了したのは午後1時。
帰りの公用車の中、私の言葉を聞いても東堂さんはいまだ不服そうだ。
恐らくだが、10代、20代の頃であってもああいう場に自主的に行くようなタイプじゃない彼からすれば、息もしずらいほどのあの人混みに自ら選んで飛び込む人々の感性は理解できないのだろう。
夜道の運転は危ないから、と運転をしてくれている東堂さんの綺麗な横顔を見ながら「東堂さんは学生時代、友達とハロウィン楽しんだりしなかったんですか?」尋ねると、すぐに返ってきた「ないな」という予想通りの言葉。
「ハロウィンに何かするって風潮、ここ数年のものだろう?俺たちの時代はなかった」
「…なかったって、東堂さんが興味なかっただけじゃないんですか?」
「…まあ、否定しきれないが…、今ほどお祭り騒ぎじゃなかったのは確かだ。そういう早瀬こそ学生時代はさっきの若い子たちみたいに騒いだりしてたのか?」
赤信号でゆっくり停車した東堂さんは、信号を見上げたまま私に尋ねてくる。
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