第5話

「…っ、」



「俺のそばを離れるな」



「へ?!」



「また男に絡まれるだろ」



「…、」



引っ張られた勢いで東堂さんの腕にしがみつく形になった私に、容赦なく注がれる東堂さんからの心配の眼差し。



「早瀬は華奢だからな…。警察に見えなくて絡まれやすいっていうのも理解できるが…」



「あ、あの…東堂さん?」



「絡まれても倒せるからといって…気安く触れさせるな。気分が悪いだろう」



「…っ、」



くっと眉間に寄せられた皺に、きゅっと心臓が弾む。



うわ…だめだ。これはダメだ…。勘違いする。都合よく勘違いしちゃうやつだ…ずるい…。



その「気分が悪いだろう」って…私が、ですか?それとも…、







『こちら十字路交差点前。横断歩道内にて20代男性同士の言い争いが始まり、通行困難な状況。歩行者の誘導と喧嘩の仲裁のため応援願います』





本日何度目か分からない通信に会話を止めて、「南署東堂・早瀬班、応援に向かいます」と返答した我々は休む暇もなく現場に急行した。

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