第4話
ペコペコこちらに頭を下げながら去っていく模範囚たちを見送ったあと、「もう!東堂さん、あんな怖い言い方しなくても!」と隣を歩く彼を見上げると、「…お前が絡まれてるのが悪いんだろう」とボソリと一言。
どことなく拗ねたような雰囲気に、…もしかしてヤキモチじゃ…?なんて、都合の良すぎる考えが頭によぎったものの…、流石に夢見がちすぎるので、ブンブン頭を振ってすぐにそんな予想は廃棄処分。
「すみません、あっちもこっちも酔っ払いの小競り合いの仲裁で忙しいのに…。なんかこの制服着てるとコスプレに間違われちゃって、やたらと絡まれるんですよね!」
「…俺は一回も声かけられてないぞ?」
「そりゃあ、こんな大柄の生真面目そうな顔の男がコスプレ衣装着てるなんて誰も思いませんよ…!」
「…」
てっきり東堂さんの愉快な冗談だと思って、あははと笑ってそう言ったのだが、東堂さんは少し不服そうに顔を顰め、それから私の方をじっと見つめてくる。
え…なに?…なんか、おかしい?
先ほどから街行くコスプレ美女が振り返るほど端正な顔立ちをしている東堂さんからそんなにじっと見つめられれば…正直正気でいられるはずもなく…
間近からの視線に耐えられず、ススス…と東堂さんから離れようとすると、「あ、こら」と腕を掴まれ、ぐいっと手前に引き寄せられた。
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