第3話

普段はスーツ姿で刑事として働いているのだが、本日10月31日のハロウィン本番。



例年、ハロウィンに浮かれて街に繰り出した大人たちによるトラブルが絶えないため、こうして捜査一課から私と東堂さんが警備の応援職員として動員されたわけなのだが…、



私に絡んでいた男二人に対して、「偽物がウヨウヨしてますが、私も彼女も本物の警察です」と重低音で告げる東堂さん。その迫力たるや…泣く子も黙るほどである。




「は?!け、…警察?…お、お姉さんも?」



「あはは、はい、治安維持のために警備にあたっております」



目を見開いて驚く彼らを見れば、せっかく羽目を外して楽しんでいたというのに鉄仮面お兄さんの登場で一気に盛り下がってしまったようで…。



なんだか少しだけ気の毒に思えて、にへらと笑いながら答えると、「…あ、いや、てっきりコスプレポリスかと…」と苦笑いで頭を掻く彼ら。



「いや〜確かに警察のコスプレ多いから間違えますよねぇ。でも、急に声かけて肩組まれたりしたら女の子びっくりしちゃいますからね?しつこくしちゃダメですよ?」



「…はい、すみません…」



素直に肩を落とす彼らは多分根っから悪い人というわけではないんだろう。イベントごとで楽しくなってちょっと気が大きくなっちゃっただけ。


だからそのまま、「混雑する前に帰ってくださいね〜」と別れを告げようとしたのに…



「楽しむのは良いですが、しつこく声をかけると軽犯罪法に触れる場合もありますのでお気をつけて」



「「…、」」



「…ちょっと、東堂さん!」



「…」



遠慮なくさらに彼らの覇気を奪う一言を投げるから、もう本当にこの人は…!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る