第2話
「お巡りさんっ!」
騒がしい人混みの中、弾むような声で肩を叩かれ、ほとんど反射で「はい?」と振り向けば、そこに立っていたのは囚人服姿の二人の男性。
「お姉さんすごいね、本格的〜」
「ねぇ、俺たちのこと捕まえてよ」
「あ、いえ…私は…」
お祭りテンションの若者に若干たじろぎながら、久々に袖を通した制服の胸ポケットから警察手帳を取り出そうしたのだが…
「…っ、」
「…ね、お姉さん。一人なんでしょ?」
「少し歩いたところに俺たち行きつけのバーがあるんだけど、そこでゆっくり話そうよ」
一人の男に肩を組まれ、反対側にはもう一人に回り込まれる。
ふわりと香るお酒の匂いは、この浮かれた光景の中では珍しいものではない。
「ね、…ちょっと遊ぼうよ。楽しませてあげるから」
耳元にフッと吹き込まれる声にゾワッと悪寒が走る。別に攻撃的なわけでもないし…と呑気に構えていたものの…ちょっとこれは気持ち悪いので早めに撒いたほうが良いかも…。
そう考えを改め、私の肩に回る腕を掴もうと右手を上げた…その刹那。
「…お前たち何してるんだ」
低く悍ましい声が後ろから聞こえてすぐ。「うわっ!」という声とともに男たちは私から引き剥がされた。
振り返れば、むすっと不機嫌そうな顔で囚人服姿の男性の腕を掴む警察官が。
その制服は、私と同様コスプレなんかではない。正義の紋章が光る正真正銘の警察官の制服で。
彼は、東堂大志警部補。私、早瀬真琴が働く南警察署捜査一課捜査二係所属の上司である。
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