第6話

「顔腫らして会社来た時には流石に引いたわー」



「ね?それに比べたらいい人だと思ったんだけどなぁ」



「まんまと勘が外れたわね」



「…」



思い出したくもない昨日の出来事を連想して顔を歪める。



そんな私を流石に不憫に思ったのか、「まあ、そんな男と結婚することにならなくてよかったじゃん?」なんてようやく向けられた慰めの言葉。茜は「次こそはいい男見つけよ!」と明るく笑う。



でも、その前向きな言葉に私は頷かない。それどころかブンブンと頭を振って拒否反応を示した。




「いや、もういい!ウンザリ!」



「はぁー?あんた状況分かってんの?

結婚適齢期の女に過去の恋愛引きずって傷ついてる暇なんてないんだからね?!」



「いいんだってば!もう一人で生きていくって決めたの!」



「もー、意地張ったって仕方ないのにー」




私は普段は気が強いし、必要なことは上司でもしっかり伝える質だけど、恋愛関係に関してはそうはいかない。



揉めるのが嫌で相手の言いなりになっちゃうし、愛情表現も得意じゃない。



今まで付き合った人たちも、みんながみんな元からダメな人だったわけじゃなくて…



私と付き合って、時を過ごして…段々とダメになっていくんだ。




その原因が私なのであれば…私が幸せになれる道は一人で生きていく以外にないのだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る