第3話

愛田美波、22歳、職業モデル。




小学校低学年の頃から憧れた雑誌モデルになったのは小学5年生の頃。




学生に人気のティーン向け雑誌のモデルオーディションでグランプリを受賞したことがきっかけで今の事務所に所属させてもらった。




最初の方は右も左も分からず、スタジオの隅で泣いてばかりだった私だけど…今では女性ファッション雑誌の専属モデルとして表紙を飾らせてもらうこともしばしば。




「次号は美波ちゃんが表紙ってSNSで公開したら、本屋さんに予約殺到してるみたいで、さっき発売前重版決まったんだよ〜」



「え!本当ですか?」




撮影後の写真チェックの最中、嬉しい報告をしてくれた編集長に両手を叩いて喜ぶと、




編集長は「今日も元気だね」とクスクス笑いながら、「なんたって、今をときめく愛田美波だからねぇ。」と付け加えた。




その、“今をときめく”の部分が…モデルとしての実力以外のものを示していることに気がついた瞬間…。




私の笑顔が作り笑顔に変わった。






「昨日のドラマの最終回、すっごく良かったもんねぇ!また評判上がって、うちの雑誌もじゃんじゃん売れて…もう美波ちゃん様様だよ〜」




「あはは、…それは、私も頑張った甲斐がありますね!」




「特にヒロインが想い人にようやく気持ちを伝えるところなんて…すごく共感しちゃって…」




「…、」





編集長がうっとりと左上を見上げて、昨日のドラマの最終回を思い浮かべたタイミング。








「…お疲れ様です、橋田編集長。」



「あら、木嶋きじまさん。お疲れ様!」





私の担当マネージャー、木嶋さんが私と編集長の間に顔を出した。

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