第15話 秋斗 残業

工場勤務になってから慣れないことばかり。

歳上の現場の人から怒られることもしょっちゅうだ。


管理する側と管理される側、何かとスムーズにいかないことも多い。


要領がまだまだで何をやっても時間がかかってしまう。

ちーちゃんのことを考えると7時には家に帰りたい。


会議の途中、時計に目をやるとまもなく6時。

今日は無理そうだな…


結局解放されたのは7時少し前だった。

俺の配属された生産管理部門は、基本残業しないようなるべく定時に帰るよう言われている。

会議に参加していたメンバーも帰り支度を始めていた。


上司「立花君、このあとご飯でもどう?」

立花秋斗たちばなあきとのこと。


秋斗「ありがとうございます。せっかくですが、今日は…。事前にお話し頂けたら、調整しますので。機会があればぜひ。」


上司「そうだよな。急じゃね。そうだ、もう少し落ち着いたら歓迎会しようと思ってるから日程決まったら言うからよろしく。」


秋斗「ありがとうございます。では、お先に失礼します。」


帰りの車の中、正直歓迎会は行きたくないと思ってしまう。


俺は集団で食事をすることが苦手だ。

まずお酒が飲めない。

それに、せっかくお店で食事するというのに、本当に自分が食べたいものは食べられない。

まぁ、そもそも飲み会の趣旨は食べることではないのだから仕方がない。

飲み会の何が嫌って、酒に酔った連中がだいたい俺の顔面に絡んでくる。

前に取引先の女性が酔って俺の肩にもたれてきたこともあった。

俺は酔った勢いで何かしてくる人は生理的に受け付けない。


俺の世界は、俺とちーちゃんで満たされている。

人と関わるのは職場だけで十分だ。




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