第10話 秋斗 新生活

 あれから目まぐるしく転勤の準備が進み、引っ越しも終わった。


「ちーちゃん、新居は慣れてきた?」


言葉がわかるはずないと思いつつ、俺はちーちゃんと話す時間が楽しい。


ちーちゃんは首を傾げて俺を見ている。

が、すぐに部屋中を探検し始めた。

引っ越して1週間経つというのに、熱心に匂いをかいでいる。


「ちーちゃん、いったんクレートに戻ろう。」


するとちーちゃんは慣れた様子でクレートに戻った。


犬は広すぎる空間にずっと出しっぱなしだと、それはそれで落ち着かない。

ある程度自由にさせたあとは、クレートで過ごさせている。


夕飯の買い出しにでも行ってみるか。

俺はいつも出かけるときはちーちゃんに声はかけない。

余計不安にさせてしまうからだ。


車で近所の小さなスーパーに向かった。

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