第9話 秋斗の決意

 あれから1週間、転勤のことと向き合った結果、

俺はやってみることにした。


1年の期間限定だし、工場に近いエリアの物件も色々情報収集したところ、家賃も予算範囲内でペット可、庭付き一軒家の物件を見つけた。

不動産屋に問い合わせをしたところ、今はまだ入居申し込み者はいないとのことだった。


これならちーちゃんが一緒でも大丈夫そうだ。


俺は上司に報告した。

上司は喜んでくれた。


上司「よし!よく決断してくれた。お前はまだ若い。うちの役員たちも、次の管理職を育てたいって言っててな。すごく良い機会だと思う。細かい日取りは役員会議のあとになるが、現場の調整とか、住まいの件も含めてざっくり2ヶ月後くらいからスタートすると思う。家賃はもちろん会社持ち、物件もこっちで契約するから安心しろ。」


秋斗「あの…大変申し上げにくいのですが、住まいは自分で探したところにしたいのですが…家賃は自費で構いません。検討頂けないでしょうか。」


上司「え?あ、いやどうかな。それは問題ないと思うが総務部長に聞いてみよう。その、差し支えなければ理由を聞いてもいいか?」


秋斗「実は犬を飼ってまして。ペット可物件が必須条件になりまして、自分で見て決めたいなと。」


上司「そうだったのか!は〜なるほど。お前がやたらと定時で帰りたがったり、飲み会来ないのはそういうことだったのか!いや、お前みたいな超イケメン、きっと家に美人の彼女がいるか、とっかえひっかえ女と日替わりでデートしてんじゃないかとか、みんな言いたい放題しててな。すまん、悪気はないんだ。ただ、お前の容姿は社内も取り引き先からもみんなの話題になるレベルだから。」


秋斗「そんな事ないです、俺、恋人いませんし。」


上司「へっ?何か、今フリーなのか。」


秋斗「あ、でも面倒なことになりたくないんで、周りの連中に言わないでください。あえてそのままにしておいてもらえると有り難いです。」


上司「モテる男は苦労するなぁ。ま、俺には経験ないからわからんが。住まいについては少し待っててくれ。なるべく早く確認して報告するから。」


秋斗「宜しくお願いします。」


その3日後、上司から住まいの件でOKが出た。

俺はすぐに見つけた物件の内見予約を入れた。








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