第8話 秋斗とちーちゃん

「ただいまー。」


家に帰ると愛犬ちーちゃがちぎれんばかりに尻尾を振り回してお出迎えしてくれる。


「ハッハッハッハ」


大興奮のちーちゃん。


「いつも待っててくれてありがとう。着替えたらお散歩タイムだぞ〜。ちょっと待っててね。」


俺の大好きなちーちゃんは、4歳女の子の雑種だ。

元々実家で飼っていた。

両親と祖母は同居していて、1年前に祖母の介護が始まった。

両親は想像以上の介護の大変さに、ちーちゃんの面倒までみる余裕が無くなってしまったとのことで、俺が引き取ることになった。


ちーちゃんは捨て犬だった。

父が日課の散歩に行ったとき、公園の木の茂みに段ボールが置かれていてその中に仔犬が3匹と甘食が一袋入っていたそうだ。


そのまま3匹連れて帰り、その中の1匹がちーちゃんだ。

他の2匹は父の友人達が引き取ってくれた。


ちーちゃんは真っ白な子で、日本犬のような見た目をしている。

すごく食いしん坊で天真爛漫な女の子。


家族の全員に懐いていた。


俺はペット可の物件を探し、引っ越しもしてちーちゃんをお迎えした。


ペット可物件とはいえ、単身マンションでそう広くはない。


だからどんなに疲れていても、帰ったら1番にちーちゃんのお散歩に行く。

必ず近くのドッグランに寄って、散歩30分、ドッグラン30分、計1時間はしっかり遊ぶ。


「さてちーちゃん、お散歩に行こう!」


ちーちゃんのお散歩を終えたら転勤のこと、どうするか考えないとな…。


ホント、どうしよ。

ちーちゃんも連れて行けるのかも含めて考えないと。

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