四日目:

4-1:慚愧

・・・




 なんか、すっごい久しぶりに良い夢を見れた気がする。あんまり内容を覚えてないのが残念だ。


 夢ってさ、起きたら大体覚えてないよね。覚えてることもあるけど。

 でもそれが現実よりも良いものなら、起きなきゃよかったみたいになるかもだし。

 やらなきゃいけないことがあるなら、夢みたいなことって覚えてない方がいいのかもね。




・・・






 はい! おじさんだよ!!

 ぬわあああああん疲れたもおおおおおん!! ツラ過ぎぃ!! やめたくなりますよおRTA!!!



 ま、やめませんけど(鋼の意思)



 いやさ、やってることがRTAという名の手動TASだから、追記回数が増えてくるとやっぱしんどっ……てのはある。

 やれば必ずできるけど、それを苦も無くできるかって言われたらそりゃやっぱ苦しいわさ。でも、どんなことだってそうでしょ。

 勝つためには絶対どこかで頑張ってなきゃいけないし、苦しさのない勝利なんかどこにもないってことよ。

 ほら、努力!友情!勝利!ってそれ一番言われてるから。

 ……まぁおじさん、いま友達いないから友情は無いんだけど。





 ……? うーん?


 それにしても今日はなんだかモチベーションが上がらんな。

 ここしばらく変わり映えのない作業ゲーが続いてたからだろうか。

 無理やりでも気分上げていかないとやってらんないんだぜ……!



 さあ、今日もスーパーハイテンションで一狩り行こうぜガンガンいこうぜ!!






 ところで追記作業がメインならどっちかというとTASを名乗るべきなのではと少し思ったのだが。

 おじさんをTASさんと呼ぶのは流石に恐れ多いし、おじさんはリアルをひた走るタイムアタッカーだからね。

 本来の意味とはちょっと違うかもしれないけど今後もRTA走者として頑張るよ!!



 さてさて、おじさんを苦しめてるこの追記作業なんだけど。


 おじさんの魔法は未来を選ぶ魔法。

 未来を確定させて、ルートを通した時点で魔力が消費される。


 でもこれってさ、実のところ


 前に検索は地図アプリみたいって言ったけど、魔力消費のイメージとしてはネットショッピングにかなり近いかな。

 ネットの海をサーフィンして、ショッピングサイトに行って、目的の商品を買う。

 有料会員サイトは無いという前提だし正確にいうとネットとかの料金は掛かってるけど、どれだけ商品を探したとしても費用はほとんど変わらないでしょ。

 問題となる未来の購入料金も、ほぼ送料と原価だけ。つまり、物理的な距離とそれが実際に行われるのに必要なエネルギーに比例してる。


 どういうことかっていうと、魔物をぶっ殺すのにごんぶとつよつよビームを当てるのは、威力が威力なので魔力がめっちゃ要る。

 そして遠くの魔物をスナイプするのはとんでもなく魔力が要るから結構近づかないといけない。そもそもビーム分の魔力もあるし。

 特異点の魔物出現状況を固定するのは、次の出現魔物の魔力総量に依存する。雑魚の群れなら簡単に固定できるし、ボスクラスなら大変。

 次回出現位置の抽選みたいなのはその場の特異点でしてるから、倒した直後なら送料無料みたいなもん。

 逆に遠くの特異点から近くの特異点に次の魔物を出してもらうのはかなり困難。

 投げた空き缶をゴミ箱に投げ入れるのは空き缶のエネルギーだけなのでタダも同然。

 ソシャゲのガチャを当てるなら処理してるサーバーの近くに行けばできる。

 宝くじとかは抽選現場に行ければ余裕。テレビ越しだとだいぶきつい。

 スクラッチくじは売り場にそもそも当たりがあるかどうかと店員さんが物理的に抜き取れる位置にあるかどうか。

 競馬も競馬場に行けば当てれなくもないと思う。馬の走る時のエネルギー量ってどんなもんだろうか……。


 まぁとどのつまり、魔力的な対価は実現可能性とは全く関係ないってこと。

 ただただ、その未来を見つけるのがしんどくなるだけなのだ。




 さてここで、魔力回復のための魔力変換というスキルがある。

 これって使いすぎると魔法少女の魔力核がぶっ壊れてしまうことで知られるハイリスクスキルなんだけど。


 この魔力核がぶっ壊れてしまうコアブレイクという現象。

 これについてはひとまずおいといて、その前段階の魔力変換の代償について。


 代償の大きさが変換量に比例してるのは当然として。

 実は代償が発生するのって変換量に対しての確率なんだよね。

 発生しなかったら変換量は蓄積されて、蓄積変換量は代償発生でリセット。


 実はこの流れ、色々とおかしいんだけど、わかるだろうか。


 魔力に関しては魔界側でもわからないことが多いのだけど、これってよくよく考えると、魔力が先払いされてるよね?

 違う世界の法則を無理やり持ってきてるから、トランザクションが上手くできてないような感じ。

 このことで魔力の総量は変換前、変換後の代償発生前、代償発生後で釣り合ってないんだけど、余分な魔力ってどこから生まれてきてるんだろうか。

 ついでに言うと、今は触れないけどコアブレイクの前後でもおかしいことになる。


 おじさん的にはそれが具体的にどういう論理なのか気になるものの。

 まあ、今はそういうものとして納得しておこうか。利用できるなら理論はそこまで重要じゃないし。


 代償発生確率に関しては魔法の属性によってまちまちで、大半の属性は結構高めだからすぐ発生する。

 代償が発生しにくい属性は結構レアなんだけど、だいたいは万能チート属性!って感じのものに多いかな。


 もちろんおじさんもレアな方の属性だ。だから元々代償が発生しにくいんだけど。


 ぶっちゃけ、おじさんの魔法に関しては代償発生が確率って時点で、使




 先にここで一つ断っておくけど、未来の選別対象に自分自身は選べない。

 例えば病気になったあと死なない確率とか、怪我をしたあと死なない確率とか、そんなものは選別できない。

 でも見ることはできるので一安心だね。今のRTAはチャート完走するまでおじさん無事だから大丈夫だよ。

 あと生理現象も同様で、お腹を減りにくくしたりとか寝なくても大丈夫とかにはできない。

 この辺は前もってしっかり一から十まで確認してなかったせいで、ちょっとしたガバが発生したんだけど、それはまぁいいとして。


 だけど、魔力核はその例外になる。

 だって、魔力核は自分自身ではないのだから。


 この世界の人間には元々魔力がない。だから、魔力を扱うためには魔力核が必要となる。


 魔物が持っている魔力核は、生命エネルギーと魔力を元に魔力核の種を作る。

 魔物が暴れるときその種は魔力とともに拡散され、成長すればやがて魔物になる。

 魔物の繁殖とはつまり、自分以外の命を食べて新たな魔力核を作ることだったりする。


 まあ魔物になるほど魔力核が成長するには追加の生命エネルギーの他に、魔界みたいな液体じみた高濃度魔力環境が必要なのでこの世界ではまだまだ魔物が自然発生する余地はない。

 成長できなかった種はそのうち魔力に還ってこの世界に溶け込んだりしてるんだけど、稀にその魔力核の種が生命エネルギーを求めて人間とかに寄生することがあったりする。


 つまり魔力の定着とは、魔物の種が少女の中に入って上手く安定した結果起こってるということなんだ。



 なんか……エロい!



 求める生命エネルギーの基準ってのがよくわからんけど、魔力核は人間の子供、特に少女を好むらしい。

 たまに少年に寄生してるのは、多分その魔力核がそういう性癖なんだろう。母数が少ないので結構レアなパターンだ。

 あと特殊なとこだと、動物とか虫とか人間以外の生命にも寄生しようとしたりするのもある。

 けどそんな変態性癖魔力核さんたちは定着できなくて全て消える。

 魔力の世界は多様性が認められない悲しい世界なんだね……。


 上手く定着できたノーマルな魔力核さんはエネルギーをもらいながらその人の属性を元に魔力の方向性を定めて、魔力を作ってくれるようになる。

 これはつまり極々安定した魔力変換を勝手にしてるってことなんだけど害はほぼないので気にするようなことではない。

 で、その人は生命エネルギーを上手く与えて調教することによって、魔力核さんから魔力を引き出して操作する。



 ここで重要なのは、魔法少女とは人間と魔力核が共生した存在だ、ということ。

 魔法を使う少女と、魔力を作る魔力核は全く違う存在なのだ。


 おじさんみたいな干渉系魔法は本来自分を選べないのだけど、自分ではないので自分の魔力核は選べるということになる。


 まあ普通の魔法少女にとっては、だから何?なんだけどね。

 使われることがないからこの事実はほとんど知られていない。


 さて、話は戻るけど。

 魔力変換の代償を選別するときの対象はおじさんの中の魔力核なので、物理的距離はもちろんゼロだ。

 変換のエネルギーってつまりは変換ロスなんだけど、変換効率は倍どころではない高倍率だからめちゃくちゃ安い。

 おかげで選別の消費魔力を余裕で上回ってくれている。



 ということは、おじさんは



 なんか色々未来を選別して魔力いっぱい使う。

 未来を変換して魔力を作る。

 代償発生をがんばって選別して先に回避しておく。

 作った魔力から回避の選別に使った魔力を差し引いたお釣りの魔力が残る。

 残った魔力でなんか色々未来を選別する。



 おいおい、永久機関が完成しちまったなあ!

 これでノーベル賞はおじさんのもんだぜ!



 ま、当たり前ながら確率はどんどん下がるんだけどね。うまいばかりの話ではない。

 でもそれはおじさんの頑張り次第でどうとでもなるし、問題ない話。






 ……というかこれも色々な意味で1週間が限度なんだけどね!!


 でも今回のチャートの肝は、その1週間でほぼ確実に目的を達成できることにある。

 チャート構築するときに色々検討してみたけどどれもこれも納得するものにならなくて。


 最終的に今のチャートが出来上がったときは、それはそれはもう感動したね。



 見とけよ見とけよ〜!

 おじさんがこれから全てのバッドエンドを否定してやるからなー!!



 さあさあ4日目を始めようか!

 イクゾー!








・・・

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