第2話

「沙耶ちゃん、なんかあっただろ。」

「えっ?」


 急に言われてびっくりして左の晃司先輩を見上げると、右にいる慶輔先輩が


「ちょっと元気ないよね。龍とはいつも通りだし、キョウとケンカって訳でもなさそうだけど…。おにーさんたちに話してごらん?」


「あ…えっと、大したことじゃ、ないんですけど…」

「うん、それなら尚更話しちゃいな。」




 沙耶は、小さな声で言った。恭平が九鬼に3年前の事を話したみたい、と。



 沙耶の上で慶輔と晃司は顔を見合わせた。




「キョウが話したってことは、九鬼を信用できるって思ったんだよ。あいつ、緑峰で有名だからさ。九鬼が後ろに付いてるって知って沙耶ちゃんにちょっかい出そうとする奴が減るのは確かだよ。」


「キョウさ、沙耶ちゃんの事がすっごい心配でしょうがないんだ。高校が違うから尚更。だから、自分で安心するためって言うのもあるんじゃないかな。」


「でもキョウが沙耶ちゃんを傷つけるようなことをするはずない、だろ?」


「はい。」


 沙耶は、何の迷いもなくうなずく。

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