第3話

「そっか、3年前の事を聞いて心配かけたかもっていうのが不安なんだ。」


「……はい。」


「沙耶ちゃん、心配かけるの嫌かもしれないけどね、心配するよそりゃ。」


 慶輔はきっぱりと断言した。



「3年前もね、すごく心配だった。」


 うつむいた沙耶が唇を開いた時、慶輔は言葉を続けた。



「謝っちゃダメだよ。」


「……っ」


 沙耶は言葉を失った。ごめんなさい、と言うつもりだったからだ。




「心配するの、当たり前だろ?俺たちにとって沙耶ちゃんはすごく大切で、大好きだから。絶対幸せになってほしいのに元気なかったり悲しい目にあったりしてたら、心配するし救ってあげたいって思う。」



「俺たちも、沙耶ちゃんにくだらない話聞いてもらったり相談に乗ってもらうじゃん。それって迷惑?」


「まさか!そんなことないですっ。くだらないなんて思ったことないし…っ」


 勢いよく首を横に振る沙耶に、2人は微笑んだ。



「でしょ?俺たちもおんなじ。」


「あ…」


「ね?悩む事なんかじゃないでしょ?」



 中学の時も、そうだった。いつも優しく、自分のためを思ってくれる。お兄ちゃんみたいな人が周りにいっぱいいて、悲しみなんて感じる暇がなかった。

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