第6話 子供たちへのプレゼント①
◆子供たちへのプレゼント
この売買は隣のB町では男女が逆らしい。
つまり、サンタが女性たちに運んでくるのは少年たちだ。その様子は想像に任せることにしよう。
このプレゼントのお陰で、町の男女の比率が保たれるようになっているのは言うまでもない。
だが疑問が残る。
なぜ、子供たちはハーメルンの笛吹男に導かれるように、町から姿を消したのか。
まさか、そんな催眠の薬を飲ませたわけではないだろう。
その疑問に応えるように、
サンタ同士がこんな会話をしているのをある人が聞いたらしい。
降りしきる雪の中、
A町担当のサンタとB町のサンタが、落ち合って雑談をしていた。
二人とも髭がないサンタだ。これから子供たちにプレゼントを配りに行くようだ。
「今年も、子供たちがよく売れたな」
子供たちは何かに誘われるように町を出て行った。何人もの子供たちが行方知れずとなっている。
それを行ったのは彼らサンタクロースたちであることは言うまでもない。もしくはサンタの属する組織だろう。
「あの音波を受けると、勝手に子供がやってくるからなあ。便利な物を作ったものだ」
一人のサンタが満足そうに言うと、もう一人が、
「子供たちの玩具に、仕掛けを仕込む作業も大変だった」と言った。
彼らの話を告げ合わせると見えてくるものがある。
クリスマスの夜、サンタが子供に届けていた縫いぐるみや、ゲーム機などの玩具には何か音波が発信される物が仕込まれていたということだ。もちろん普通の大人には聞こえない音だ。
子供だけが独自の音を捉え、その発信源に向かうようになっている。
サンタの雇用主の所に集められた子供たちには、自分の意思を失くす処置が施される。
そうなった子供は、親が誰であるか分からないし、探そうともしない。
つまり、ただ主に尽くす人形のようになる。
これほど都合の良いものがあるだろうか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます