第2話 サンタクロースの仕事

◆サンタクロースの仕事


「サンタさ~ん」

 トナカイが引くソリに乗ったサンタクロースが、町の中を駆け抜けると、人々は窓から顔を出し声を掛ける。

「今年もプレゼント、お願いしますね!」

 ある人は家の窓から顔を出して声をかけ、またある者は町の往来でサンタにお願いをする。

 自分の子供たちにプレゼントを届けて欲しいからだ。

 サンタは無言で微笑み、手を振って合図を送る。

 サンタの顔は白い口ひげとアゴひげに覆われている。見えるのはその細い目と、慰め程度に見える口だけだ。

 そんなサンタクロースは町の人気者だ。

 ソリの荷台には幾つもの袋が詰まれている。袋には子供たちへのプレゼントが入っている。縫いぐるみやゲーム機などが入っている。

 サンタはイブの深夜、子供のいる家にそれらを配布して回る。


 子供たちの欲しい物は、事前に聞いてある。

 親たちが、子供たちの欲しいものを第三希望まで聞いておき、それをサンタ宛ての手紙を投函しておくのだ。

 もちろん、予算を超える品物は、却下される。

 サンタにとって、お金は無限ではない。無謀な金額の提示が増えるとやっていけなくなる。

 そうなると気になるのは、サンタが配布するプレゼントの資金源は何処にあるのか?

 サンタだって、バカではない。

 ちゃんと元が取れるように仕組み作りをしている。

 そして当然ながら、サンタは一人ではない。

 一つの企業形態の社員のように何人もいる。もちろん、他の町にもいる。

 サンタはどのようにして生計を立てているのだろうか。


 そんな疑問を町の人は誰も気にしたことはない。

 プレゼントをもらうことが当然だと思っているからだ。

 人々は傲慢だ・・

 それ故に、人々はサンタが配布したプレゼントの正体に気づいていない。


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