魔雪地獄 ~ 髭のないサンタクロース(短編)
小原ききょう
第1話 雪の魔力
「魔雪地獄」
◆雪の魔力
雪には不思議な力がある。
いや、不思議な力というよりも魔力と呼ぶべきなのかもしれない。
雪には汚れたものを美しく見せる力がる。
薄汚れた町の風景も一晩で雪化粧をすれば、美しい景色となってその姿を現す。
風景だけではない、人もだ。
心の汚れた人間も綺麗に映し出す。
例えば、私を虐めていた人たちも雪の中では不思議とその様相が変わったりする。
ましてや、雪がちらつく中、笑顔でも見せれば、過去の罪が消えてしまうかのように感じさせる。
「あんな綺麗に見える子がイジメなんてするはずがないじゃないか」
私に暴力を振るった人たちも、雪の中ではそんな風に評価されたりする。
雪はずるい・・
いや、雪ではなく、雪によるまやかし、雪が見せる虚像がずるい。
子供だけではない。
犯罪を犯した大人、またはこれから犯罪を犯す可能性のある人も、雪の中ではそんな風には見えない。不思議と浄化されているように見える。
だから人は騙されてしまう。雪に騙されてしまう。
雪は汚れたものを浄化する魔力がる。
私がそんな雪の怖さを知ったのは、クリスマスの季節だった。
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