第5話 悲しいなぁ・・・

澪を下した俺は主の住処に向かっていた。そろそろ雑魚ばっかで飽きてきたところだ。


そんなことを考えてた俺の前に洞窟が現れた。


 「ここが主の住処か。」


ここから凄ましいほどの魔力が漏れ出で来るのが何よりの証拠だろう。


 「澪も期待外れだったしなんか戦いがいのあるやつだといいけどなぁ。」


そう、俺は退屈していた。Sランク相当のゲートと言っても魔物は雑魚しかおらず

澪との戦いも思ってたよりも簡単であっけなかった。本気とは言わずとも奥の手の一つや二つ使える敵が現れてもいいのではないか、と思っていた。


 「期待してるよ。」


俺はまだ見ぬ主に向かってそういった。





うん、ここは合格だ。


俺がそう思うぐらいここの魔物は量が良かった。Aランクの魔物でも数百匹単位で来るならSランク相当はあるはずだ。残念なのが耐久値はAランクであることだ。


 「はは、ここはそれらしい戦い方ができるねぇ。」


奥の手とは言わずともそこそこの戦いが出来ている。それに俺は興奮していた。この先にいる主なら、アレを試せるのかもしれないと。


そう思った矢先、どこか、見たことのある魔物が出てきた。


 「あ?あれはミノタウロスか?」


そう、このゲートの主にしてSランクの魔物であるミノタウロスだ。しかし、普通主は守護者の間から出られないはずなんだが?


 「ちっ、イレギュラーかよ。」


俺は先制攻撃として嫉妬リヴァイアサンを放つ。しかし、半透明の障壁に防がれてしまった。硬い魔導障壁か?それにしては硬すぎやしないか?


 「傲慢ルシフェル あの障壁は破れる!」


異能によるこの世界へのルール付与。しかしながら障壁が破られる気配はなかった。


 「はは、これこそが俺の求めていた、戦いがいのある敵だ。さぁ、楽しませてくれよ。」


俺はそう言い、ミノタウロスに向かって最大力の嫉妬リヴァイアサンを放つ。



 

 

結局障壁は破れなかったが、俺は戦っていて一つの仮説を立てた。


 「...もしかしてあれは異能封じの障壁か?」


異能封じの障壁

ステバトの世界にもあった、魔王級の魔物や魔族が展開していた障壁。大抵の異能は無効化され、Sランクの異能力者が全力で放った異能でも破れるか微妙なところだった。そして俺の異能では傲慢なる剣ルシフェルで切り裂けるかどうかといったところだろう。だが、澪との戦いで使用してしまった。これはクールタイムがデカいから今は使えない。


 「ちっ、こんなイレギュラーは聞いてないぞ。」


くそう、俺の華麗なる原作チート生活が...。やっぱり主人公はボコろう(なぜ?)


俺は奥の手は全部で三個ある。これはどれも後半で出てくる敵を想定して開発したものだというのに...、序盤でこんな敵がいるとか聞いてないぞ。


だが、ミノタウロスはSランクの魔物で魔王級とは大きな壁があるはずだ。イレギュラーだとしても説明がつかない。ランクの昇格はそう簡単に起こるものじゃない。それこそキメラのように改造されるか、蟲毒の呪法のようなことをやらない限り起こらない。公式資料にもそう書いてあった。


 「そんなことを言ってる場合じゃないか。」

 「すべての悪意よ、ここに集い大いなる罪となり光を汚せ Seven deadly sinsセブンデッドリィシンズ 」


昏く光る闇が洞窟内を満たし、多くの魔物の断末魔が響いた。



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