第5話 勇者パーティの闇
その頃
レオを追放した
勇者パーティの方では。
新勇者パーティ、王子アレン
王子カイ、王女リリスに加え
お城の兵士たち二名が初めての
モンスター討伐に挑んでいた。
しかし
森の中で遭遇したのは予想以上に
強力なゴブリン3体だった。
アレンが双剣を抜いて果敢に立ち向かうも
ゴブリンたちは素早く動き回り
その連携でアレンを翻弄した。
双剣の鋭い一撃は一体をかすめるに留まり
次の瞬間には背後から攻撃を受けてしまう。
カイは風魔法を用いて距離を取りながら矢を放つが
ゴブリンたちは容易くその矢を避け
迫り来る。
一方
リリスは必死に治癒魔法を唱えながら
傷を負ったアレンや兵士たちを支えようとしたが
魔力の消耗は速く
彼女の額には汗が滲んでいた。
兵士たちも剣を振るい
ゴブリンたちに立ち向かうが
次々と倒されてしまい
絶望感が広がる。
ゴブリンの笑い声が響く中
パーティの士気はみるみるうちに低下していった。
追い詰められた勇者パーティ
逃げるしかないが
ゴブリンが速すぎて逃げられない。
そのとき王子アレンはお城の2人の兵士を囮にして
自分たちだけ逃げようと言い出した。
王子カイは賛成したが
王女リリスは少し抵抗したものの
賛成せざるを得なかった。
そして
二人の兵士を囮にして勇者パーティは
逃げてしまった。
2人の兵士はゴブリンに追いつかれ
殺されてしまった。
「このままではまずい!
全力疾走だ!」
アレンは歯を食いしばりながら叫ぶ!
新勇者パーティは
このような状況であっても
自分たちの力不足を痛感することはなく
レオの存在や実力を認める者は一人もいなかった。
なんとか逃げ切った勇者パーティ。
アレンは城に帰っても
兵士2人を囮にしたことは
みんなには内緒にしておこうと言った。
カイは賛成し
リリスは複雑な表情を浮かべた。
それから1週間後
ゴブリンに殺された兵士の子供(8歳の女の子)が
王子アレンに直接謁見して言った。
「パパが
王子たちから囮にされたんじゃないかって
噂が流れているんだけど…」
その言葉には幼さと共に
父親を失った悲しみと疑念が込められていた。
王子アレンは
その場で追放したレオのせいにしたくなった。
「レオって奴隷が
あなたのパパを囮にして逃げたんだよ
きっと」
と誤魔化した。
しかし
女の子は
「レオって奴隷を追放したのはもっと前のことでしょ?」
とツッコミを入れ
疑念の目を向けた。
アレンはその瞬間
非常に辛い立場に陥った。
女の子は
「私はアレン王子が
パパを囮にしたんじゃないかって
思っているの」
と怒りを露わにした。
するとアレンは激怒し
「私を侮辱するなら牢屋に入っていろ」
と性格を激変させた。
そして
女の子の家族を逮捕し
投獄してしまった。
その後
アレン王子の悪質な指示によって
女の子の家族は
王国ニュースで悪役として報道されてしまった。
この出来事をきっかけに
勇者パーティに対して疑いを持つ人々が増え始めた。
兵士たちの家族や友人たちはもちろん
一般市民の間でも
勇者パーティの行動や王子アレンの判断に
不信感を抱く者が現れるようになった。
特に囮にされた兵士2人と
親交のあった兵士たちの間で噂が広がり
勇者パーティへの支持は
徐々に揺らぎ始めていた。
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