第16話 会心の一撃
その後、大和は優衣と時々他愛もない話をしながら、膝枕している彼女の頭を優しく撫で続けていたのだが。
「……ウトウト」
優衣は段々目をトロンとさせながら、徐々に意識が虚ろになっていっていたので。
「優衣、そろそろ寝た方が良いんじゃないか?」
優衣の頭を撫でながら、大和がそう声を掛けると。
「……大和くんも、もう寝るんですか?」
眠たそうな声で優衣はそう聞いて来たので、大和は時間を確認して。
「いや、まだ11時にもなってないし、俺はもう少し起きているよ」
大和がそう言うと。
「……大和くんが寝ないのなら私もまだ起きています」
優衣はそんな風に言い返して来たが、そんな優衣は直ぐにでも寝そうな表情になっていて、そんな優衣の姿を観た大和は、
「仕方ないな、今日は俺ももう寝るから優衣も寝ような」
たしなめる様に優衣に向かってそう言うと。
「……大和くんも寝てくれるのならそうします」
眠たそうに自分の目を擦りながら優衣はそう言った。
その後、大和は今にも寝そうな優衣を起こして洗面所まで連れて行き、2人で歯磨きを済ませた。
そして、大和は優衣を連れて2階に上がると。
「優衣、取りあえず今日はここで寝てくれ」
優衣が泊まるかもしれないと聞いてから一応掃除をしておいた空き部屋へ優衣を連れて行き、大和はそう言って自室へ戻ろうとすると。
「あれ、大和くんは何処に行くのですか?」
優衣はそう聞いて来たので。
「何処って自分の部屋だけど、あっ、今日は本当にもう寝るから優衣も安心して寝てくれ、それじゃあ優衣、お休み」
大和はそう言うと、優衣に背を向けて自分の部屋に戻ろうとすると。
「キュ」
「優衣?」
優衣にパジャマの袖を摘ままれて、大和が振り返ると。
「……1人だと寂しいので、私は大和くんと一緒に寝たいです」
優衣はボソッとそんな言葉を呟いたが、好きな人にそんな事を言われて思春期真っ只中の大和が断れる筈もなく。
「……ああ、分かったよ」
大和の理性の粉々に砕け散り、優衣の言葉に素直に頷くしかなかった。
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